1-1 複素数の主値と多価関数 - 演算と関数

2024.09.01 Toranu-Tanuki

1. 基本の考え方

全ての数字で以下を考える。

x = pv(x) ei2πn (1)
  • pv(x)は x の主値を表す。
  • n は全ての整数である。(注:ある一つの整数ではない。)
    すなわち、ei2πn=ei2π(n+c)(c はある整数)がいえる。
  • ei2πn=1 であるから数字は一価である。
2. 加算、減算、乗算、除算

加減乗除算は一価関数である。

3. 冪乗

冪乗は多価関数になる。

xa = pv(xa) ei2πna (2)
  • a が整数のときは一価関数である。
  • a が p/q(p と q は整数で互いに素、p≠0, q > 0)のときは q 価関数である。

冪乗の主値は以下となる。

pv(xa) = eRe(a)ln|x|Im(a)θx ei(Im(a)ln|x|+Re(a)θx) (3)

ただし、θx=Arg(x) であり、 π<θxπ

4. 対数

対数も多価関数になる。

ln(x) = pv(ln(x)) + i2πn (4)

対数の主値は以下となる。

pv(ln(x)) = ln|x|+iθx (5)

ただし、θx=Arg(x) であり、 π<θxπ

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Question

1-2 複素数の主値と多価関数 - 式変形

2024.09.01 Toranu-Tanuki

1. 負の冪乗と冪乗の逆数
xa 1xa

◆主値

pv( xa ) = 1 pv( xa ) (1)

◆多価関数

xa = pv( xa ) ei2πna = 1xa (2)
  • 主値、多価関数とも変換に伴う変化なし。式変形に問題はない。
2. 加算の冪乗と冪乗の乗算
xa+b xaxb

◆主値

pv( xa+b ) = pv( xa ) pv( xb ) (3)

◆多価関数

xa+b = pv( xa+b ) ei2πn(a+b) = xaxb (4)
  • 主値、多価関数とも変換に伴う変化なし。式変形に問題はない。
3. 乗算して冪乗と冪乗の乗算
(xy)a xaya

◆主値

pv( (xy)a ) = pv( xa ) pv( ya ) pv( ei2πma ) (5)
m={ 1 θx+θyπ 0 π<θx+θyπ 1 π<θx+θy
  • a が整数のとき主値は変わらない。
  • また a が整数でなくとも、π<θx+θyπ の場合は主値は変わらない。
  • 特に、少なくとも x か y のどちらかが正の実数であれば主値は変わらない。

◆多価関数

(xy)a = pv( (xy)a ) ei2πna = xaya (6)
  • 多価関数は変換しても変化しない。主値は変わることがある。
  • 数学的には変換に問題はないが、実用上は主値の変更を考慮する必要がある。
4. 冪乗の冪乗と乗算の冪乗
(xa)b xab

◆主値

pv( (xa)b ) = pv( xab ) pv( ei2πmb ) (7)
m= floor( π(Im(a)ln|x|+Re(a)θx) 2π )
  • b が整数のとき主値は変わらない。
  • また b が整数でなくとも、π< Im(a)ln|x|+Re(a)θx π の場合は主値は変わらない。
  • 特に、x が正の実数であり a が実数であれば主値は変わらない。

◆多価関数

(xa)b = pv( (xa)b ) ei2πnab = xab ei2πnb (8)
  • 多価関数、主値とも変化する。すなわち数学的に変換に問題がある。
  • ただし、主値だけを考えている場合であれば適切に主値を扱えば問題はない。
5. 乗算して対数と対数の加算
ln( xy ) ln( x ) + ln( y )

◆主値

pv( ln( xy ) ) = pv( ln( x ) ) + pv( ln( y ) ) + i2πm (9)
m={ 1 θx+θyπ 0 π<θx+θyπ 1 π<θx+θy
  • π<θx+θyπ の場合は主値は変わらない。
  • 特に、少なくとも x か y のどちらかが正の実数であれば主値は変わらない。

◆多価関数

ln( xy ) = pv( ln( xy ) ) + i2πn = ln( x ) + ln( y ) (10)
  • 多価関数は変換しても変化しない。主値は変わることがある。
  • 数学的には変換に問題はないが、実用上は主値の変更を考慮する必要がある。
6. 冪乗の対数と対数の乗算
ln( xa ) aln( x )

◆主値

pv( ln( xa ) ) = apv( ln( x ) ) + i2πm (11)
m= floor( π(Im(a)ln|x|+Re(a)θx) 2π )
  • π< Im(a)ln|x|+Re(a)θx π の場合は主値は変わらない。
  • 特に、x が正の実数であり a が実数であれば主値は変わらない。

◆多価関数

ln( xa ) = pv( ln( xa ) ) + i2πa + i2πn = aln( x ) + i2πn (12)
  • 多価関数、主値とも変化する。すなわち数学的に変換に問題がある。
  • ただし、以下は可能である。
    eln( xa ) = e aln( x ) + i2πn = e aln( x )
    これは、冪乗の計算で使用するが問題はないということ。
  • また、主値だけを考えている場合であれば適切に主値を扱えば問題はない。
7. 対数の指数
eln( x ) x

◆主値

pv( eln( x ) ) = x (13)

◆多価関数

eln( x ) = pv( eln( x ) ) e i2πn = x (14)
  • 主値、多価関数とも変換に伴う変化なし。変換に問題はない。
8. 指数の対数
ln( ex ) x

◆主値

pv( ln( ex )) = x + i2πm (15)
m= floor( πIm(x) 2π )
  • π< Im(x) π の場合は主値は変わらない。
  • 特に、x が実数であれば主値は変わらない。

◆多価関数

ln( ex ) = pv( ln( ex ) ) + i2πn = x + i2πn (16)
  • 多価関数、主値とも変化する。すなわち数学的に変換に問題がある。
  • ただし、主値だけを考えている場合であれば適切に主値を扱えば問題はない。

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